「しつけ」ってなに?怒らない育児のための声かけ変換術10例
「何度言ったらわかるの!」「ちゃんとしつけないとダメな親だと思われる…」
子どもに対して“正しく育てなければ”というプレッシャーを感じたこと、ありませんか?
ついイライラして怒ってしまったあとで、「本当は怒りたくなかったのに…」と後悔する。
そんな思いを抱えながら、頑張って子育てをしている親御さんは決して少なくありません。
- そもそも「しつけ」って何?
- 怒ると「聞いているようで、実は聞いていない」
- でも、現実は「怒らずに伝えるのが難しい」
- この記事でわかること
- 次の章では…
- 声かけ変換術①|「早くして!」→「〇〇分までにやってみようか」
- 声かけ変換術②|「ダメって言ってるでしょ!」→「〇〇ならいいよ」
- 声かけ変換術③|「なんでそんなことしたの!」→「どうしてそう思ったの?」
- 声かけ変換術④|「いい加減にしなさい!」→「そろそろ終わりにしようか」
- 声かけ変換術⑤|「うるさい!静かにして!」→「声を小さくできるかな?」
- 声かけ変換術⑥|「片づけなさい!」→「おもちゃに『おやすみ』しようか」
- 声かけ変換術⑦|「そんなことして恥ずかしいよ!」→「どうしたらよかったかな?」
- 声かけ変換術⑧|「泣かないの!」→「泣いてもいいよ。落ち着いたら話そうね」
- 声かけ変換術⑨|「ちゃんとして!」→「今は〇〇をする時間だよ」
- 声かけ変換術⑩|「いい子にしててね」→「〇〇をしていてくれると助かるよ」
- まとめ|“怒らず伝える”は「技術」だから、だれでも身につけられる
- よくあるQ&A
- チェックリスト|あなたの声かけ、大丈夫?
- 最後に|子どもは「あなたの声」を通して学んでいる
そもそも「しつけ」って何?
「しつけ=怒ること」だと誤解されがちですが、実は本来の意味は全く違います。
しつけとは:
社会で生きていく上で必要なルールやマナーを、親が子どもに“繰り返し教え、身につけさせる”こと。
つまり、「怒って言うことをきかせる」ことではなく、
“子どもが自分で考えて行動できるようになること”が目的なのです。
怒ると「聞いているようで、実は聞いていない」
子どもは、大人が感情的に怒っているとき、“内容”ではなく“怒りのエネルギー”を感じ取ります。
結果、「怒られるからやめよう」「ママが怖いからやめよう」という
“外からの圧力”で動くクセがついてしまい、
「なぜやってはいけないのか?」という内面的な理解が育たなくなってしまうのです。
でも、現実は「怒らずに伝えるのが難しい」
とはいえ、日々の子育ては時間との戦い。
朝の準備、家事、仕事、育児…。
そんな中で「丁寧な声かけを心がけたい」と思っても、時間も心も余裕がなくなると怒ってしまうのは当然のことです。
大切なのは「怒らない完璧な親」になることではなく、
“怒らずに伝えるパターン”をあらかじめ持っておくことです。
この記事でわかること
この記事では、
- 怒らずに「伝わるしつけ」をするための考え方
- 実際のシーン別の“声かけ変換例”10選
- 子どもの心を育てる言葉の選び方
を、心理学・教育学の視点からわかりやすく紹介します。
ぜひ、子どもに届く「伝え方」を一緒に見つけていきましょう。
次の章では…
次章では、実際の子育て場面で使える「声かけ変換術10例」をご紹介します。
つい言ってしまいがちなNGフレーズと、それをどう変えれば子どもに伝わるのか?
1つずつ丁寧に解説していきます。
声かけ変換術①|「早くして!」→「〇〇分までにやってみようか」
NG例:
「早くしなさい!」「何してるの!遅れるよ!」
OK例:
「時計の針がここになるまでに着替えられるかな?」
「あと5分で出発しよう。ママと競争だ!」
◎心理的な背景
「早く!」という言葉は命令口調で、子どもを焦らせるだけで終わってしまいます。
子どもは“時間”の概念がまだあいまいなので、数字や視覚(時計など)で伝えると理解しやすくなります。
◎効果
- 行動を“自分ごと”として捉えられるようになる
- 「時間を守る=安心」という習慣が育つ
声かけ変換術②|「ダメって言ってるでしょ!」→「〇〇ならいいよ」
NG例:
「走っちゃダメでしょ!」
「ダメって何度言ったらわかるの!」
OK例:
「お部屋では歩こうね。外なら走ってもいいよ」
「ここでは静かにして、あとでお外で遊ぼうね」
◎心理的な背景
「ダメ」と否定されると、子どもは自分自身が否定されたと感じやすくなります。
代替案(〇〇ならOK)を提示することで、行動の“切り替え”をスムーズに誘導できます。
◎効果
- ルールを肯定的に学べる
- 「どうしたらいいか」を考える力が育つ
声かけ変換術③|「なんでそんなことしたの!」→「どうしてそう思ったの?」
NG例:
「どうしてそんなことするの!?バカじゃないの?」
「何度言えばわかるのよ!」
OK例:
「どう思ってそうしたのかな?」
「そうした理由を教えてくれる?」
◎心理的な背景
頭ごなしに叱られると、子どもは防衛的になり、考える力が止まってしまいます。
行動の背景にある“気持ち”を引き出す声かけをすることで、
自己理解や他者理解が深まり、問題解決型の思考が育っていきます。
◎効果
- 自分の気持ちや理由を言語化できるようになる
- 親も子どもも“対話”を通じて理解し合える
声かけ変換術④|「いい加減にしなさい!」→「そろそろ終わりにしようか」
NG例:
「もう!いい加減にしなさい!」
「いつまで遊んでるの!」
OK例:
「あと5分で終わろうか」
「お片づけの時間にしよう。どこから片付ける?」
◎心理的な背景
「いい加減にしなさい」は大人の感情をぶつける言葉で、子どもには意味が伝わりにくい表現です。
具体的なタイミングや行動を示すことで、切り替えがスムーズになります。
◎効果
- 切り替え行動が習慣化しやすくなる
- 自分の行動に“区切り”をつける感覚が育つ
声かけ変換術⑤|「うるさい!静かにして!」→「声を小さくできるかな?」
NG例:
「うるさい!黙りなさい!」
「今は静かにしてって言ってるでしょ!」
OK例:
「声を小さくしてくれると嬉しいな」
「今はお話しの時間だよ。お耳を使ってみよう」
◎心理的な背景
子どもは感情や興奮で声が大きくなるのは自然なこと。
「うるさい」と否定されると、自分の存在自体を否定されたように感じることもあります。
代わりに、「どうすればよいか」を肯定的に伝えることで行動が整いやすくなります。
◎効果
- 公共の場でのマナーが自然に身につく
- 子ども自身が「今の状況」に気づけるようになる
声かけ変換術⑥|「片づけなさい!」→「おもちゃに『おやすみ』しようか」
NG例:
「片づけなさいって言ってるでしょ!」
「こんなに散らかして!片づけてよ!」
OK例:
「おもちゃたちをおうちに戻してあげよう」
「寝る時間だから、おもちゃもおやすみだね」
◎心理的な背景
「片づけなさい」は大人の都合での命令になりがちです。
子どもの世界観に合わせて、「おもちゃを大切にする」「役割を終えたらしまう」などの感覚を育てる声かけが有効です。
◎効果
- 「片づけ=楽しい・愛情をこめる行為」に変わる
- モノを大切にする心や習慣が育つ
声かけ変換術⑦|「そんなことして恥ずかしいよ!」→「どうしたらよかったかな?」
NG例:
「そんなことしちゃダメでしょ!みんなに笑われるよ」
「恥ずかしいからやめなさい!」
OK例:
「さっきのこと、自分ならどうしてほしかったと思う?」
「どんなふうに言えば伝わったかな?」
◎心理的な背景
「恥ずかしい」という言葉は、子どもの自己肯定感を下げるリスクがあります。
周囲の目や評価で行動を制限されると、自発的に考えたり行動したりする力が弱まります。
◎効果
- “他人の視線”ではなく“自分の気持ち”を基準に行動できる
- 失敗を恐れず改善しようとする姿勢が育つ
声かけ変換術⑧|「泣かないの!」→「泣いてもいいよ。落ち着いたら話そうね」
NG例:
「泣かないの!」「うるさいな、泣いたってしょうがないでしょ!」
OK例:
「気持ちが溢れてきたんだね。大丈夫、泣いてもいいよ」
「落ち着いたらママに話してくれると嬉しいな」
◎心理的な背景
「泣くな」は感情を否定する言葉。
感情を抑え込むと、自己表現力が育たず、感情のコントロールも難しくなります。
◎効果
- 感情のままに泣くことは“回復”につながる
- 気持ちを整理する力や、自分の感情に名前をつける力が育つ
声かけ変換術⑨|「ちゃんとして!」→「今は〇〇をする時間だよ」
NG例:
「もう、ちゃんとしてよ!」
「だらしないよ!」
OK例:
「今はごはんの時間だね。椅子に座って食べよう」
「お話は後で、今は歯みがきの時間だよ」
◎心理的な背景
「ちゃんとして」は非常に抽象的で、子どもには意味が伝わりません。
やるべきことを具体的に・肯定的に伝えることで、行動を選びやすくなります。
◎効果
- 「今やること」を認識する習慣が身につく
- 生活リズムや場面に応じた切り替え力が育つ
声かけ変換術⑩|「いい子にしててね」→「〇〇をしていてくれると助かるよ」
NG例:
「いい子にしててね」
「お利口に待っててね」
OK例:
「ママが電話してる間、静かに絵を描いててくれる?」
「お話が終わるまで、このイスで座ってくれると嬉しいな」
◎心理的な背景
「いい子」=大人にとって都合のよい子、というメッセージになりがちです。
それは条件付きの愛情と捉えられやすく、自己評価の基準が他人軸になってしまいます。
◎効果
- 「自分が何をすればよいか」が具体的にわかる
- 親の期待や信頼が行動につながる
まとめ|“怒らず伝える”は「技術」だから、だれでも身につけられる
「怒らない育児」は、決して“理想論”ではありません。
怒らずに伝えるためには、言葉の選び方・伝え方・心の余白が必要です。
そしてそれは、意識的に練習すれば、だれにでもできるようになる「技術」です。
まずは一つ、今日からできる“声かけ変換”を実践してみてください。
繰り返すうちに、親子のコミュニケーションが変わり、子どもが自ら考え、動く姿がきっと見えてくるはずです。
よくあるQ&A
Q1:「怒らないとナメられませんか?」
いいえ。怒らずとも、毅然と伝えることはできます。
重要なのは“怒るかどうか”ではなく“どう伝えるか”。
一貫性をもって伝えることで、子どもは親の言葉を信頼し、行動に耳を傾けます。
Q2:「言い方を変えても、結局聞いてくれない場合は?」
一度で伝わることは稀です。
「同じ言葉を繰り返す」「共に考える時間を取る」「できた時にしっかり褒める」こともセットで行うのがポイントです。
Q3:「周りの目が気になってつい叱ってしまいます…」
まずは“家の中”で実践してみましょう。
親子の信頼関係が深まれば、外でも自然と余裕を持って接することができるようになります。
チェックリスト|あなたの声かけ、大丈夫?
チェック項目 | できてる? |
---|---|
子どもの気持ちに耳を傾けてから話している | □ はい □ いいえ |
否定よりも「こうするといいよ」と肯定的に伝えている | □ はい □ いいえ |
具体的な行動で伝えている(「ちゃんとして」など抽象語は避けている) | □ はい □ いいえ |
できたときに「ありがとう」「助かったよ」と伝えている | □ はい □ いいえ |
怒る前に深呼吸や気持ちの整理をする習慣がある | □ はい □ いいえ |
すべて「はい」にならなくても大丈夫。
今日から少しずつ、できるところから実践していきましょう。
最後に|子どもは「あなたの声」を通して学んでいる
親の一言ひとことが、
子どもの「自信」「考える力」「人を思いやる心」の土台をつくっています。
怒らないしつけは、親も子もストレスが減り、信頼関係が深まる育児スタイルです。
完璧を目指す必要はありません。
でも、あなたの「伝えたい気持ち」が、
優しく、でもしっかり届く言葉に変わるだけで、子どもの未来は大きく変わります。
ぜひ、この記事をきっかけに「怒らない育児」を、あなたの育児スタイルに取り入れてみてください。
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